横板へのライニングのニカワ付けが完了しましたら次は横板に裏板をニカワ付けします。
ここでは、ニカワ付けの前に必要なブロックの準備について説明します。
**********
先の話になりますが、6個のブロックは最終形状としてボディーの内部では角のない形状に仕上げられます。
この加工は、横板に表板をニカワ付けする(これでボディーが箱として完成です)前に行いますが、その時、ノミを使って丸みを付けるようにブロックの角を削り落とします.。その際、勢い余って裏板を傷つけてしまう可能性がありますので、あらかじめ出来るだけこの加工を済ませておきます。
具体的にはコーナーおよび上下ブロックの角の部分を下の画像のように仕上げます。 それぞれ赤の斜線の部分が削られた部分です。因みに削り取れるのはブロック表面から内型のところまでとなります。
下の画像ではコーナーブロックの削られた部分がライニングの表面から出ていますが、完成時にはライニングの延長のようにしてブロックがライニングより出ることはありません。また、上下ブロックの両サイドは概ねブロックの厚み(14mm部分)に対して1/4円ほど取り去り丸みを持たせます。
この辺りの加工の考え方は製作者により多少異なるかと思います。



製作工程 メニュー
**********
以上のブロックの加工が終わりましたら、裏板をニカワ付けする面の平面を出します。
紙やすりを貼った定盤の上で裏板を付ける面を削ります。この正確な平面を作ると同時に内型からの横板の高さを確定します。
この際、裏板の場合、アッパーバウツとローアーバウツで傾きを持たせます。
「どこの傾き?」ということになりますが、上手く表現できないのですが、内型からの横板の高さをアッパーバウツ(ボディーの最上部)で8mm、ローアーバウツ(ボディーの最下部)で9mmとします。これにより横板を水平面にセットし横から見たときに裏板を貼る面が水平面に対して若干傾きます。
この“傾き”です。角度での話ではありませんがアッパーバウツよりもローアーバウツが少し下がった状態になります。これはバイオリンのボディーが完成した時に、ローアーバウツの厚みがアッパーバウツよりも1mm厚くなることを意味します。この厚くすることを裏板の取り付けで行うためこのような仕上げが必要となります。実は、このことを考慮して、内型にブロックを付け、そこに横板をニカワ付けし、さらにライニングを横板に付けています。
**********
ブロックの準備として最後に、6個のブロックの木口にニカワをたっぷりと付けます。
木工製作において木口の接着は、接着剤が木口に浸透することを考慮し接着する前にあらかじめ接着剤(ニカワですが)を吸い込ませておきます。
各ブロックの表面に、表面張力で盛り上がる程度のニカワをのせておきます。ニカワの濃さにもよりますが4,5時間おけばOKと思われます。