バスバーが完成し(12-b.加工)すべての表板の作業が終了しましたら、すでに裏板の取り付けが完了している横板にこの表板をニカワ付けしてボディを完成させます。
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表板を付ける前に、横板の接着面にあたる面(6個のブロック面を含むライニングの接着された横板断面)を定盤ヤスリで正しい平面にします。
この時に横板の高さ(表板と裏板に挟まれた距離、幅と言うのでしょうか)を同時に決定します。
この高さは、上ブロックが30mm、下ブロックが31mmとなります。したがってインナーバウツ辺りの高さは30.5mm程と考えますが上下の高さを優先し全体の平面を出しますので、必ずしもそのようにならない場合もあると思います。その場合は30.5mmにならなくても良いと考えます。
同時に、中心線に対して左右の同じ位置における高さは同じ高さになるように、すなわち左右対称になるように仕上げます。
裏板の平面出しの時は、まだ内型があったので削りやすかったのですが、ここでは内型は既に外されていますので定盤ヤスリに押し付けての
削りが難しくなると思います。あまり強く押し付けないようにしながら力をコントロールして作業します。少々コツを要求されるところです。
製作工程 メニュー
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正しい平面が出来ましたら、ニカワ付けするにあたって、いつも通り6個のブロックの木口にあらかじめニカワを含ませておきます。
ニカワは1回塗るだけではすぐに吸い込んでしまうので、様子を見て塗り重ねて最終的に表面に残るようにしておきます。
このために4、5時間ほど必要になるかと思いますが、他の作業を行うかここで1日の作業を終了して続きの製作は翌日ということにすように作業計画を立てておくと良いでしょう。
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ブロックの木口にニカワを含ませることが出来ましたら(翌日になってしまったでしょうか)、次に表面に残っている余分なニカワを取り除きます。先ずはお湯で表面に残っているニカワを柔らかくしてその後で平ノミで
こそげ取るようにします。概ねニカワを取り除くことが出来ましたらお湯を含ませたウェスを良く絞って木口のニカワ等をきれいに拭き取ってから、いよいよ表板の接着を行います。
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さて、次の作業によりバイオリンの胴が姿となって現れることになります。
裏板の接着の時と同様に、ブロック・横板・ライニング面にニカワを付けて、更にそれと接着される表板の部分にもニカワを付けます。
そして表板を取り付けるわけですが、目的はただ一つ、「ズレないように!」です。
これは、横板面からの表板の縁が一周にわたり均一に出ている(予定では2.5mmですが)ようにするということであり、このことを目視で確認しながら最終的に固定します。この時に表板の出具合をものさしで確認して悪いわけではありませんが、ここは目視で自分の目を信じて作業することがベストと思っています。恐らく、一周にわたりキッチリと2.5mmとなることを期待するのは難しいと思われます。そういう中で最善の結果を得る方法として目視に勝るものはないと思っていますが如何でしょうか。
なお、クランプとして裏板の際は自作の丸クランプで締めていましたが、下の画像のようにこの作業に特化したクランプがあります。
このクランプを使えば作業が手際よく行えますが、裏板の時と同様に丸クランプで作業しても問題はありません。
下の画像のクランプは市販品ですが、適当な木材・ねじ・ゴムパッキンなどを使っての自作も可能です。