ネック作りの手順としては、
1.ネック材をバンドソーで完成時の外形に切り出す。
2.糸巻き用の下穴をボール盤で4ヶ所あける。
3.ネックの渦(スクロール)を削りだす。
となります。 以下、その作業の説明です。
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最近のネック材は完成時の最大幅42mm(注1)に対して十分な余地のない木が多いように思うことがあります。
そのような場合、バンドソーでネックの外形を切る場合にネックのセンター面に対して垂直に加工することが難しく
なるため補助として木をたしてネック材が完全な直方体となるようにしておきます。右の画像はネック材に木を足した
後で直方体になるように余分な部分を切断しているところです。薄い木が付け足した木です。
因みに、付け足した木は完成時にはなくなることを確認しておく必要があります。
(注1)渦巻の最後の部分となります。 この数値は製作者により異なりますので限定的なものではありません。
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ネック材が木を足したことにより直方体になり、ネック正面になる平面と側面との直角が確保できたらゲージに
合わせて外形形状の線をネック材の側面に描きます。
作業途中の画像を撮るのを忘れたのでゲージだけ・・・
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次にボール盤で糸巻き(ペグ)の部分の4か所の穴を貫通するようにあけます。
あらかじめキリ等でガイドとして浅い穴を付けておきます。
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いよいよネックの外形をバンドソーで切っていきます。
切っていく時のポイントは切った後にケガキ線が見えるか見えないかぐらいに切るのが理想の切り方です。
厳密に考えれば、ケガキ線は完成ゲージの写しなので線が残っては狙いとしたものよりも僅かではありますが大きくなるということになります。
したがって線が残らないギリギリのところまで刃を運ぶのが狙いとなります。 しかし後でバンドソーの切りあとをヤスリできれいにすることを考えると若干の余裕があっても良いかと考えますが、多すぎるのは色々な問題が生じる可能性がありますので注意が必要です。
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切り終わったら、基準となる中心線をとります。(写真が一枚では収まりきれなかったので・・・)
中心線の取り方は、まず基準面(バンドソーで切る際、この基準とした面をテーブルに置きます)から考えます。
ネックの渦の最大の幅は42mmなので基準面より21mmのところに上下2か所印を付けて線で結びます。
次にナットが付く部分の線は(写真では見にくいのですが)先ほどの緑のゲージにペグ位置のための穴が4つ空いて
いるのですが一番右の穴の斜め右上の所に刻み目があります。そこに印を付けて反対の面にもゲージに合わせて
印を付けて線で結びます。この線上でナットと指板が接着されます。
この線上に中心線より左右12mmの場所に印をつけます。
更に、この線よりも下方(右画像参照)130mmの場所に中心線と垂直に直線を描き、中心線から左右16.5mmの
場所に印をつけて先ほどのナット位置の線上につけた印と直線で結び、渦の出来るだけ奥まで結びます。
この直線が指板の取り付け位置および糸巻き箱の外側となります。
次に、糸巻き箱の内側をケガキます。
先ほど描いたナット取り付け位置の線と平行に6mm離した線を渦巻側に描きます。
糸巻き箱外側の線より内側に5mm離して平行線を描きます。
この3本の線で一巻き箱内側の形状を決めますが、残りの1辺は渦巻の下できるだけ奥に適当に考えます。
その際、A線用のペグがセットできる場所を十分に用意しておくことを忘れないようにしてください。
以上のケガキ作業により右画像のような線が描かれると思います。
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渦の背面から正面に向けての幅の変化はこのようなアルミを曲げた物をバンドソーで切り出した渦の外形に
押し当ててケガキ線を描いています(自作です)。
次は→6-a-1.削り(1)