等高線を描く道具として市販されているものもありますが、ここではマイクロメーターとカーボン紙を用いて描く方法を以下に記載します。
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最初にマイクロメーターの開きを5.0mmにセットします。
裏板のアーチ面にカーボン紙を置きマイクロメーターのスピンドルの先端(測定子)を軽く当てます。
この時に、マイクロメーターの開口が小さくて裏板が入らない場合は裏板の削りがまだ充分でない(5mm以上ある)ということになりますが、そのような場合は最初のマイクロメーターのセッティングを5mmより
大きくして行っても良いですが、やはりこの時点で入るように裏板を加工しておくほうが良いと思います。
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このようにカーボンの点が板の厚さ5.0mmの箇所にプロットされます。
これをフリーハンドで繋げて連続する曲線になるように描きます。
以上により厚みが5.0mmの1本目の等高線がアーチ面に描かれます。
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点を繋げて1周し閉じた等高線が描けましたら、定規を使って中心線から垂直方向に等高線までの長さを左右それぞれ測ります。
例えば、中心線から左に5cm、右に7cmのところに等高線があったとすると左右対称ではないということになります。この場合は右側の方に高い範囲が偏っているということになります。
この高いほうの等高線上を削るために鉛筆などで印を付けておきます。
この作業を中心線に沿って適当な間隔(1cm~2cm程度でしょうか)で行ない左右対称を確認します。
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等高線は厚み(高さ?)が5mm・7mm・9mm・11mm・13mmで行っています。
右の画像では1本足りませが…。
見ていただいて分かるようにCの部分(画面中央下)に鉛筆で印を付けた跡があちらこちらに点在・・・
ローアーバウツ(画面右中央)にも歪みが・・・
スクレーパーでほぼ仕上げが終了し左右対称になっているはずと思って、それでは確認のためと等高線を描くと、残念ながらその期待を裏切られることは多いです。
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この“等高線を描いて高いほうを削る”という作業を何回か繰り返していくと、次第に等高線の形状が左右対称になっていき、中心線(接ぎ合わせライン)に対してアーチの形状が対象になったことになります。
どこまで正確にするかは製作する人それぞれの性格(ダジャレ)によるところもあるでしょうか。
そして、正確であれば音響的に良いバイオリンができるとは必ずしも言えないのではないかとも思います。難しいところでもあります、、、
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アーチ作りOKの判断が出来ましたら、その後は細かい凹凸をさらに無くしていく訳ですが明るいと見えにくいので部屋を暗くしてライトの明かりを上手く当てながら作業していきます。
この段階では、ヤスリで凹凸を取りスクレーパーで綺麗に仕上げて、という作業の繰り返しになります。
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この後はスクレーパーでパーフリングの上の部分を綺麗に整えます。
ここで#240程度のサンドペーパーを併用すると効率が良いかと思います。
この仕上げ工程はバイオリンが完成した時に外観的な美しさとして残るところなので出来るだけ丁寧な
作業が要求されます。
これもまた製作する人の性格が見えるところです。
以上でアーチ出しの説明を終わります。
次は→8.厚み出し